シリアでは、米国の関与が縮小するにつれてロシアのプレゼンスが高まっており、トルコもまたロシアとの連携を強めている。トランプのモンロー主義で得をするのはロシアである。そのロシアとの間で締結されていたINF全廃条約からアメリカは離脱したが、ロシアも同様な行動をとったために、軍拡競争が激化することが危惧される。

 かつてベネズエラのチャベス大統領は、「悪の枢軸」をもじって、ベネズエラ、キューバ、ボリビアを「善の枢軸」と呼んだが、この枢軸は左翼・反米政権である。そのベネズエラはハイパーインフレで経済が破綻し、国外に脱出する国民が後を絶たない。チャベスの後継者であるマドゥロ大統領に対抗して、グアイド国会議長が暫定政権を樹立し、アメリカや欧州主要国はこれを承認している。そして、アメリカは軍事介入も辞さない姿勢である。中東において米軍撤退を計画しながら、ベネズエラに軍事介入するのは説得力がないし、中南米諸国の問題は米軍介入では片付かない。

ロシア疑惑の捜査結果次第では弾劾訴追も

 トランプ政権の命運を左右する問題に、ロシア疑惑の捜査がある。2016年の大統領選の際、トランプ陣営がロシアの支援を受けて選挙戦を優位に戦ったとする疑惑だ。捜査を取り仕切るモラー特別検察官の報告書が今月末にも公開される予定である。

ロシア疑惑捜査「完了近い」 米司法長官代行

2016年米大統領選挙でのドナルド・トランプ陣営とロシアの共謀疑惑をめぐる捜査を指揮するロバート・モラー特別検察官(2017年6月21日撮影、資料写真)。(c)SAUL LOEB / AFP〔AFPBB News

 その結果次第では、下院で民主党は大統領を弾劾訴追(過半数で可能)する可能性がある。実際に弾劾するには上院で3分の2以上の賛成が必要なので、共和党議員の一部が賛成しない限りか罷免には至らないが、弾劾訴追だけでも政治的に大きな打撃になる可能性がある。

 トランプ大統領が来年の選挙で再選されるためには、これから超えなければならないハードルが数多くある。