店頭市場はその性質上、新興企業が多いという特徴があり、マザーズが設立されるまでは、ベンチャー企業はまず店頭市場を目指すというケースが多かった。一方、店頭市場には有力な中堅企業も上場していたので、必ずしもベンチャー向け市場という位置付けではなかった。

 マザーズという新興企業に特化した市場が存在している以上、ジャスダックとマザーズの間では何らかの整理が必要なのは明白である。

 もっとも新興企業向けの市場についても、1部、2部と同じような問題が発生しており、これをどう解決するのかも重要な論点といってよい。

 マザーズの上場要件はかなり緩く、一部の証券会社は、上場の引受手数料欲しさに、体制が十分とはいえない企業の株式まで引き受けている。その結果、今やマザーズは世界の中でも、もっとも簡単に上場できる市場の1つとなっている。

 短期的には多くのベンチャー企業が上場できるので、業界は潤うかもしれないが、長期的に見れば、市場の信頼性を損ねる結果となりかねない。

このままでは安心して国民の資産を委ねられない

 東証では、ジャスダックと2部を統合した上で“中堅企業向け市場”を創設、“大企業向けの1部市場”と“新興企業向けのマザーズ”という3市場体制にすることを検討している。日本の株式市場が置かれている現状を考えると、東証が目指している改革の方向性は、おおむね正しいといってよいだろう。

 政府は70歳まで働くことを前提に雇用制度の改革を進めており、同時に年金の支給開始年齢の引き上げや給付の削減についても検討を始めている。これは退職金と年金だけでは暮らせなくなることを意味しており、多くの国民にとって主体的な資産形成が必須の状況となっている。