確かにロシアの新車販売台数は昨年10%近く増加している。しかし渋滞の原因は自動車台数の増加ではないように思える。

 筆者はモスクワの交通渋滞悪化の原因は「青サイレンの車」、つまり交通ルールを守らない政府関係者や政治家、おそらく彼らに連なるオリガルヒらの車が増えているからではないかと感じている。

 これらの車はスピードは無制限、緊急車両のレーンを自由に走るだけではなく、警護のパトカーを先導にしている場合は信号無視も平気である。

 これが閣僚クラスになると前後にパトカーを従えた車列を編成、時には道路を全面封鎖することもある。

 こうなると一般の車は15分から30分、全く身動きできなくなる。クレムリンから一般道路に通じる出入り口では青サイレンの車を優先的に通行させるために警官が恣意的に信号を操作するため渋滞が恒常化している。

ボリショイ広場の前は光のティアラが並んだ

 この青サイレンの車についてはかつて社会問題となって市民の間から抗議活動が起こった。

 これを受けてプーチン大統領も運用の厳格化を命じたことがあったと記憶している。

 しかし、最近は明らかに青サイレンの車が増えているように感じる。

 渋滞するタクシーの中でその理由を考えてみた。モスクワの市民が青サイレン車に反対の声を上げたのは、ロシアの経済成長に勢いのある時期であった。

 つまり多くの新たなビジネスが生み出され、中間層といわれる人々が急速に拡大していた時期である。