就活ルールは終身雇用時代の遺物

 企業も高度成長期に組み上げたビジネスモデルを引きずったまま低迷を続け、今日にいたっている。

採用アナリスト谷出正直氏

 現在の日本企業の事情について、採用アナリストの谷出正直氏がこう語る。

 「日本の産業界全体が世界的な競争力を失ってきた今、これまでの事業を一から見直し世界で戦えるビジネスに作り替える変革に迫られています」

 自動運転技術の実用化を目前にして、トヨタが自動車を作って売るモデルをやめると宣言し、みずほ銀行がLINEと手を組んで事業を始めるという動きが出てきていることを見ても、企業は待ったなしで変革を進めていることが分かる。

 「それにはこれまでに採ってこなかったタイプの人材が必要になり、入口のところを変える決断に至った。それが今回の就活ルール廃止に繋がりました」

 「産業界の変革に伴って、日本の大学も大きく変わることが望まれているわけです」

上位20大学しか採用対象にならない現実

 濱中教授は就活ルールが廃止になったことについて、「大学にとってはある意味、刺激剤になるのではないかと」と語る。

 「それぞれの教員が自分の授業を見直す機会にもなると思うからです。どうしても出たい授業ならば、学生は面接の日程を変えてもらいたいという要望を企業に伝えるはず」

 「学業に専念したいと学生が思える環境が、大学にあるかどうかが問われていると思います」

 「大学側が企業の就職に対応するのも大事なことですが、その前に授業の質の向上に取り組んだ大学とそうでない大学とで学生の就職にも格差が広がると考えます」

 昨年『週刊東洋経済』(2018年11月17日号)が行った商社の特集で、衝撃的な調査結果が発表されている。

 三菱商事、伊藤忠商事、三井物産など7大商社が昨春採用した新卒社員の出身大学を同編集部が調査したところ、そのほとんどがわずか20大学で占められていたことが分かった。