「意識の高い学生は成長の機会を見つけると、次から次に取り入れて行きます。有名大手企業がビジネスコンテストなどのイベントや各種セミナー、勉強会を開くとなれば飛びつくでしょう」
「それによって学生は刺激を受け、知識も身につき、ネットワークの幅も広がるかもしれません。しかしそのためにますます忙しくなって、消化しきれなくなる懸念があります」
選択肢が多いことは、必ずしも学生のためになるだけではなく、意欲が空回りしてしまうこともあり得るという。
「他方、一部の優秀層を除くマジョリティ層は、常に就職への不安を掻き立てられて、いつになったら内定がもらえるのか、ドキドキしながら会社をさまよい続けて、授業も中途半端になる可能性があります」
「だからこそ学生にはフィールドに出た後は、大学にもどって整理するプロセスを持ってもらいたいのです」
育成が急がれているという「グローバル人材」の人材像にも、要望があるという。
「企業が求めるグローバル人材は全般的に、語学力があり海外現地で多様な人材を相手にリーダーシップを発揮するような人物と定義づけられています」
「しかしコミュニケーション能力やリーダーシップを磨いても、専門という軸を持っていない人材は、海外では価値を認めてもらえず、馬鹿にされてしまうことにもなりかねません」
「そういう意味では、本当に企業が世界で戦える人材を望むなら、技術であれ知識であれ、専門という軸が必要です。企業には、専門というものに敬意を払っていただきたいと思っています」