イタリア・シシリー島のエーリチェへの旅を前編(1)と後編(2)に分けてご紹介します。前編(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55386)ではトラーパニからのバスで着いた朝のできごとをお伝えしました。

 空き地の前の家の玄関に、猫たちが大勢集まっていました。この家の猫かしら? それにしても、何匹いるの? ちょうどそのとき、教会の鐘の音が聞こえました。「あぁ、もうお昼か。家の窓から湯気が出ているわ」。そう思ったとき、30匹くらいいた猫たちが騒ぎはじめました。

 すると玄関が開き、両手にザルを持った女性が姿を見せました。猫たちは身動きできないほどその女性を取り囲みましたが、女性は慣れた様子で猫たちを払いのけつつ歩き、窓の下に敷いてあった風呂敷大のビニールの上で、二つのザルをひっくり返します。茹で上がったばかりと思われるショートパスタです。女性はいったん家の中へ入ると、再び出てきてビニール袋の中身をショートパスタの上にふりかけ、和えはじめました。

 どうやらそれは、粉チーズの徳用袋だったようです。女性の給仕がひと段落したところで、話しかけました。

 実はすごく長く話し込んでしまったのですが、まとめると、「イタリアの猫だから、パスタを食べるのが当たり前」、「今日はチーズ味だけど、ミンチ肉まぶしも人気がある」とのこと。猫たちは、パスタを食べて大丈夫なのだろうか。麺自体に塩が含まれているし、粉チーズ和えなんて、塩分の取り過ぎではないのかしら?とちょっと心配になりましたが。

 そして彼女は「猫の世話ができるのは、人間冥利につきる」と言うではありませんか! 私は感動のあまり彼女と固い抱擁を交わしました。