横浜ゴムIT企画部部長の小屋垣昇氏

 労働生産性の向上を目的にした働き方改革の推進に、パソコンの操作ログデータを活用しているのが横浜ゴムだ。年間4000万件以上というパソコンの操作ログを分析し、従業員が手作業で行っている業務を可視化。それを基に「RPA(Robotic Process Automation、ソフトウェアロボットによる業務自動化)」とOCR(光学的文字認識)ソフトを組み合わせて自動化を図っている。「データが手のうちにあることがIT部門の強みだ」と話すIT企画部の小屋垣昇部長に、IT部門主導で進めるRPAとOCRによる働き方改革プロジェクトについて聞いた。

本格展開から約1年で200体あまりのロボットを開発

 2030年になっても通用する仕事のやりかたと仕組みを考える。

 このテーマを掲げ横浜ゴムがRPAとOCRの本格展開をスタートさせたのが2018年4月のこと。この1年弱の間に経理や調達、物流などの80以上の業務を対象にして200体あまりという多数のソフトウェアロボットを開発した。これだけ多くのソフトウェアロボットを稼働させている国内企業は、まだそれほど多くはない。

 横浜ゴムがIT部門主導で働き方改革プロジェクトを推進するにあたって注目したのが、従業員が利用している約3300台のパソコンの操作ログデータである。同社はセキュリティ対策の一環としてログを収集するソフトをすべてのパソコンに導入しており、1分単位でとりまとめた操作内容をIT企画部が一元的に管理している。

 1分間のうちどのソフト(Word、Excel、メール、Webブラウザなど)を何秒間利用していたかといった情報も操作ログから詳細に把握できる。横浜ゴムはまず、年間4000万件以上蓄積されるこの操作ログを基にパソコンの利用状況を分析した。