この方法では、「相手が悪い」、「あの人のことが嫌い、自分とは合わない」という感情をこちらがグッと抑えて我慢をしなくてはいけません。

 ところが、人は感情の動物です。我慢はいつか無理がきます。こちらのストレスが溜まります。

 叱り方、褒め方、指導の仕方、雑談力、コーチング、伝え方など、対人関係で使えそうなスキルは世にたくさん提示されていますが、その奥義を身につけようと修行をしている間に、ストレスはどんどん溜まり、我慢も限界に達してしまうのです。

 ではいったいどうすればいいのでしょうか? 早速解説していきましょう。

ルフィのような相手はキャラだと割り切る

 人気漫画『ONE PIECE』の主人公・ルフィは、「海賊王に俺はなる!」と言いながら、敵と戦っては、たびたび城・牢獄などに捕まってしまいます。そして仲間が必ず助けにやってくる。そう、同じパターンの繰り返しです。なぜルフィは同じようなことばかり繰り返すのでしょうか。それは、彼の「ルフィというキャラ」は変わらないからです。

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 ルフィの仲間・サンジにしても、自分が殺されそうになっている場面でも、大好きなプリンちゃんが可愛い表情をすると目がハートになり、鼻血を流すのと一緒です。「命が危ないのに、女の子を前に目をハートにさせるなんて」と訝しがっても詮無きことです。「キャラ」は変らないのです。そう割り切りましょう。ルフィはサンジにはなれないし、サンジはルフィにはなれないのです。

 キャラなので変わり様がありません。逆に、「キャラだからしょうがない」と考えれば、相手の特異な言動も諦めがつきます。「上司だから」、「普通はこうだから」とあなたが期待する像を相手に押し付けてはいけません。あなたの神経に触る相手の言動も、「キャラだから」と割り切ることで、相手に対するストレスはおどろくほど激減します。

 ルフィはゴムゴムの実を食べると、ゴム人間となり、しなやかで伸縮性を持つようになった肉体から繰り出す技で強くなります。しかし、他のキャラの武器や技は使いこなせません。

 われわれも同じです。人にはそれぞれ持っている武器や得意技があります。しかし、他のキャラの武器や技は上手く使えません。あなたのキャラに適した武器や技が、あなたが苦手とする相手に効果的でないならば、うまくコミュニケーションは取れません。