また、1人の上司ではなく、普段仕事をしている仲間から評価を得る、という点も「全体性」を実現するための手段になる。業績ノルマを持つ多くの管理職は、部下に対し極めて狭い見方で評価をしがちだからだ。そうした「恐れ」から、部下は委縮し、自分らしくはいられないものである。

 ネットプロテクションズでは、従業員が自分らしくいられるようなオフィス空間の工夫も見られる。「働くより話す」をコンセプトとしたというオフィスは開放的で、「ブランコ会議スペース」や従業員がリラックスするための部屋もある。

ブランコ会議スペースや休憩室。

メンバーで合宿「存在目的」を共有

 さて、ティール組織へ進化する3つ目の突破口「存在目的」は、同社ではどのような状況のだろうか。ティール組織では、「存在目的」に耳を傾ける、つまり、組織自体が何のために存在し、将来どの方向に向かうのかを従業員とともに常に追究し続ける姿勢があることが、進化への突破口になるとされる。

 ネットプロテクションのミッションは「次のアタリマエをつくる」である。ミッションと事業の関連性について河西氏は、「たとえば、以前は当たり前でなかった『後払い』は、弊社が事業化したことで後発の事業者が増え、ECにおける決済としては当たり前のものになったと自負しています」と説明する。

 また、「ミッションは、既存事業を考えるときはもちろん、クレジットテックの枠にとらわれない新規事業を提案するうえでの指針となっています」といい、ミッションの浸透度は高いようだ。