ひょんなことから、親子ほどの年齢の離れた若者相手に話をする機会をいただきました。

 今春に就職が決まった岩手県内の高校生を対象にした合同のお祝い会が盛岡で開催されることになり、そこでエールを送って欲しいとのこと。外商先のお得意様から声を掛けられたこともあり、何気なく受けてしまいましたが、今になって大変な案件であることに気づき、震えています。

 新しく始まる社会人生活に対し、人生の先輩として役立つ経験談の一つや二つを伝えればいいのでしょうが、あいにく私はしがない一介のサラリーマン。数多くの失敗談と片手で間に合う成功談は、ともに教訓として活かしてもらうほどの鉄板さはありません。

 さて困った、と頭を抱えながらも、ここはやはり書店員というメリットを活かし、本の力を借りることにしました。

“理不尽”といかにつきあうか

 とはいえ、“夢は叶う♡”といったありがちな書籍を紹介しても面白味がないもの。そこで今後を見据えて、知っておくに越したことはないテーマに触れたいと考えました。

 例えば組織内で円滑なコミュニケーションを図るうえで、『「無理」の構造 この世の理不尽さを可視化する』は読んでおきたい一冊。

 仕事をしているうえで、サブタイトルにある「理不尽」という3文字の漢字に悩まされ続けてきた社会人は多いのではないでしょうか。取引先から理不尽な要求をされ、上司から理不尽な査定をされ、部署内で理不尽な仕事を与えられ・・・。特に新社会人は、それまでの学校生活とまったく異なり、理不尽だらけの職場にとまどうことでしょう。