「大学では教えてもらえないことが学べた」という学生の声

 「これから商品をお配りします」

 会場にいる学生一人ひとりに配布されたのはP&Gが実際に販売している「レノア(オードリュクス)」。店頭では1000円近い価格の高級柔軟剤だ。

 商品を受け取った学生たちは、上下左右さまざまな角度から眺めたり、パッケージに書かれてある情報を読み込んだりと、思い思いの観察を始める。ふたを開けて香りを確認する女子学生の姿もうかがえる。

 商品が行き渡ったところで担当のブランドマネージャーから、この製品をP&Gがこれまでにどのような考え方でマーケティングをしてきたのか、実際に放映されたテレビCMの動画などをまじえながら、一連の流れを丁寧にわかりやすく学生たちに説明していく。

 そして一通りの説明を終えてから、「大人の女性に支持されているこの商品の価値を大学生にも知ってもらい、購入してもらうためのプランを考えていただきます」と伝えた。

質問する学生

 さっそく学生たちの手が上がる。

 「一人暮らしの学生と、家族と暮らす学生とでは、新規客獲得数のカウント方法は異なるのでしょうか」

 「このブランドのマーケティング施策の中で、最も効果的だったのは何でしたか」

 「テレビ CM では高級感は伝わってくるが、製品が持つ機能については触れられていないのはなぜでしょうか」

 およそ1、2年生とは思えないような鋭い質問が飛び出す。

 それを聞いた担当マネージャーも「いい質問ですね」と笑顔で答えると、これまでに社内で議論されてきたポイントなどを紹介しながら、P&Gが実際に商品の認知度を上げるために行ってきた作業や、会社としてこだわってきたことなどを誠実に伝えていく。

 その話の中に時折、学生だけでなくプロのマーケッターが聞いても喜びそうなハイレベルなノウハウの話も混じる。