人間はいつも合理的な行動ができるとは限りません。ストレス学の始祖ハンス・セリエ博士を日本に初めて招聘した医学博士の藤井尚治氏は著書のなかで「真実はいつも中庸にあるから、知で分析して情で全体のバランスをとることが大事」といっています。経済合理性を追求しつつも、あえて不安にまかせてジタバタしてみると気持ちが落ち着くかもしれません。

等分投資の低コストなインデックス投信も

 いっそ経済合理性に目をつぶり、素直にバランス型投信を買ってみてはどうでしょう。それで自分が納得・安心できるのなら、投資する価値は十分にあると思います。

 その際は株式投信すべてを売却するのは避けて、たとえば株式投信の一部を売却して、内外の株式・債券・リートに分散投資するインデックス投信を買ってみる。TAA型やリスクコントロール型のバランス型投信ではなく、前述の8資産に等分(12.5%ずつ)投資する低コストのインデックス投信がよいでしょう。

 資産運用は経済合理性を冷静に追求することが基本ですが、そう簡単ではありません。不安なまま、自信がないまま投資を続けることの方が、デメリットが大きいと考えることもできます。前述の藤井氏は「全体のバランスを上手にとる人のことを懐深い人、腰がすわっている人と呼ぶ」と書いています。

 腰がすわった資産運用のために、たまには情に流されてみるのもよいかもしれません。