そして3点め。個人の資産全体に対して、投資効率があまりよくないこと。すでに分散投資している資産にバランス型投信を追加したとしても、リスクコントロール効果は限定的です。これはあくまでたとえですが、さまざまな野菜やお肉が入っているカレーに違った種類の野菜・肉を使ったカレーを追加しても味はそう変わりません。カレー全体の味を変えたいなら、強めの調味料を入れたり水で薄めたりする方が効果的なのと似ています。

まずは市場へ参加して分散効果を学習する

 一般に広がっているバランス型投信の強みは市況や活用法などによって違ってくる、ということはいえそうです。

 資産運用の学習を重ねて、膨大な過去データを検証してから投資しても、リターンを得るときは得るし、損失が出るときは出てしまいます。大事なのは市場に参加すること。事前の学習や過去データの検証に加えて、まずは少額からでも投資をスタートさせる。これが最も学習効果があるといわれています。

 事前にしっかり準備して、最初からインデックス投信で内外の株式・債券・リートなどでグローバル分散投資を成立させるのが最も合理的でしょう。しかし、机上の学習が長引くと投資期間が短くなったり、市場参加への踏ん切りがつかなくなったりするかもしれません。まずはバランス型投信で市場に参加して、値動きの特徴やその原因などをひとつひとつ身に付けていくのは悪くない方法だと思われます。

いつも正しい投資行動がとれるとは限らない

 資産運用は長期投資が基本なので、投資期間中にはさまざまなライフイベントや市場環境に出会います。昨今のように株価が大きく動き、株価下落局面や景気後退期入りがささやかれるようなときは、何が正しい投資行動なのか不安になることもあるでしょう。

 低コストのインデックス投信による積立投資でグローバル分散投資を実行している人は、そのまま変更することなく継続すべき。おそらくこれが合理的な判断だと思われます。でも、不安な気持ちもよくわかります。このまま積立投資を続けて大丈夫なのだろうか。もっと他に方法はないのだろうか。この不安はいつまで続くのだろうか――。