問題は製造業の国際競争力

 今回の制度改正では、原則として2019年度中に運転開始できなければ、初期に認定を受けた案件でも、買い取り価格を21円以下に下げることになった。未稼働案件の買い取り価格はほぼ半分に下がるので、操業開始は絶望的だろう。

 経産省は2030年には事業用太陽光の買い取り価格を7円まで下げるという長期見通しを示しているが、これは市場価格とほぼ同じだ。もうFITの時代は終わったといえよう。

 この背景には、国民負担の上昇がある。次の図は経産省の資料だが、2016年度まで急速に伸びた再エネの国民負担を2030年度に向けて抑制する方針を示している。

国民負担の状況(経産省の資料)

 2018年の買い取り費用の総額は3.1兆円になり、賦課金の総額は2.4兆円になった。これは家庭用電気料金の11%、産業用の16%に達し、日本の電気代はOECD諸国でトップレベルになった。

 これは家計を圧迫するだけではなく、製造業の国際競争力を低下させ、生産拠点の海外流出を招いている。財界からも「これ以上、賦課金は負担できない」という声が高まり、経産省も方針転換したわけだ。

 図のように経産省は2030年度までに買い取り費用を4兆円、賦課金を3.1兆円に抑えようという計画だ。これによって再エネ比率は、エネルギー基本計画で想定している24%になる予定だ。

 再エネのコストは火力や原子力より高いので、今はFITで補助しないと市場で競争できない。今までのようなペースでFITの買い取りを増やすと、再エネ比率を30%以上に高めることもできるが、それでは賦課金が今の2倍以上になってしまう。

 今でも中国の2倍以上になっている産業用の電気料金がこれ以上あがると、日本で製造業はやっていけなくなるおそれが強い。つまり再エネの本質的な問題は、製造業の国際競争力なのだ。