クリステンセン、ドラッカーにつながる「元祖」イノベーション

 シュンペーターが提唱したイノベーション理論は、『イノベーションのジレンマ』や『ジョブ理論』で知られるクレイトン・M・クリステンセン教授をはじめとする様々な論客に引き継がれ、大きく発展した。シュンペーターのイノベーション理論は、現代のマーケティング理論にも色濃く影響を残している。

 組織「外」の知見を取り入れることで新たな価値の想像を図る「オープンイノベーション」や、既存の事業や製品に手を入れて新たな価値を見出す「リノベーション」といった比較的新しい概念も、元を辿ればシュンペーターの「新結合」、つまりイノベーションの概念に立ち返ることができる。

 また、近年注目を集めているピーター・ドラッカーは、マネジメントの主要機能にイノベーションを組み込み、独自のマネジメント論を展開したことで知られている。シュンペーター自身は両者を切り分けて捉えていたが、長期にわたり企業を経営していくにはイノベーションという長期的視点とマネジメントという短期的視点の両輪を適切に管理、つまりマネジメントしていく必要がある。ドラッカーの著作や関連書籍を読み解く上でも、イノベーションの定義を再確認しておいて損はないだろう。

 シュンペーターが「経済発展の原動力」であると定義したイノベーション。5体系すべてを実践すれば必ずイノベーションを成功させられるわけではないが、新事業の立ち上げや起業を考えている際に留まらず、マーケティングやマネジメントを学ぶ大前提としても押さえておきたい概念だ。