多くの人はインプットに着手する際、最初に「どの程度の期間・労力をかけて、どれくらいの量の情報を頭に入れる必要があるのか」から考え始めると思います。実はこれは、目的がズレてしまっているのです。

 正しい「目的の定義」とは、「自分(ないしチーム)が何をできる(決められる)状態を作る必要があるのか」を具体的に定めるということです。

 一例として、僕の国家公務員試験の例を挙げてみます。

インプットは記憶力の勝負ではない

 前者の「どの程度の期間・労力をかけて、どれくらいの量の情報を頭に入れる必要があるのか」から考えた場合、「3週間で、約300ページの経済学関連の参考書20冊程度を頭に入れる必要がある」といった設定になります。そこで、とりあえず参考書を開き始めることになるでしょう。

 一方、後者の「自分(ないしチーム)が何をできる(決められる)状態を作る必要があるのか」を具体的に考えた場合、まずは「出題される経済学の問題40問のうち30問に回答できるような状態を、試験当日までに作る」という設定になります。さらに具体化していくためには、下記のようなポイントを考えていきます。

・出題傾向(「統計はベイズ推定が出やすく、正答するだけなら公式の暗記で対応可」など)
・自分の思考の癖との親和性(「代数はかなり得意」「幾何はそもそも題意が掴みにくい」など)
・自分の関心(「経済思想や国際経済は楽しく学べる」「他方で無機質な暗記は辛い」など)

 これらを踏まえた上で、目的の達成のために労力配分とインプット素材(参考書等)を考えることになります。前者と後者とでは、求める結果に近づく効率がまるっきり違ってきます。

 資格試験から語学習得、受験勉強でも全く同様です。たとえば英語の勉強でも、「TOEICで900点を取る」「面接で自分の経験や職能を印象付ける」「旅行先で不自由なく話す」は全て異なる目標なので、それぞれで使うべき教材(参考書の内容や単語帳の難易度)、サービス(英会話スクールひとつ取っても、即応力、表現、発音、抽象的な議題の取扱い、論理的議論の運営など、通うべき先やかけるべき労力が異なってきます)などが大きく異なってきます。

 強調したいのは、「インプットは記憶力の勝負ではない」ということです。目的(到達したい状態)をきちんと定義して、そこに向けて目的合理的にプロセスを考えることこそが重要なのです。