「このセンターの役割は、簡単に言えば司令塔機能です。ゲートウェイや月面・火星に向けた国際宇宙探査を進めていくためには、JAXAの有人技術部門はもちろんのこと、ISASの協力が欠かせません。それぞれいろいろな技術を持っているので、どちらか一方に偏るのではなく、両方がうまく活躍できるように調整する必要がある。また、国際的な調整や民間企業との協力も重要になってきます。私はたまたま『こうのとり』でJAXAの有人技術部門に関わり、経営企画部で全体的な政策の動向を知ったうえでISASに3年間おりましたので、国際探査をめぐる状況はだいたい把握していましたし、技術的なこともある程度は理解できる。運命的なものを感じています」

 今後は個々の研究は各部門に任せつつ、ゲートウェイの正式参加が決まれば、ミッション全体の統括を担うという。

「日本は現在、ISSの運用に年間350億円から400億円ほどの予算を充てています。まずは、この一部をゲートウェイに回せば、宇宙飛行士を送ることができます。これからISSの運用を民間企業に任せるなどしながら、JAXAは徐々にISSからゲートウェイに活動をシフトさせていく方向で調整を進める予定です」

想像もつかないような何かが見つかるかも

 再び人類が月に足を踏み入れる日はそう遠くない。誰かが火星で「大きな飛躍」を遂げる日も、間違いなく来るだろう。

どんな「発見」が待っているか 撮影:菅野健児

 今後の宇宙探査に、佐々木センター長は何を期待するのか。

「探査の究極の目標は、活動領域の拡大ですよね。海にいた者が地上に上がったのと同じように、地球にいた者が他の天体に行くのは本能であり、運命でもある。そのとっかかりが月なのではないかなと思っています。月では水の発見が期待されていますし、火星探査が実現したら、生命を見つけられるかが大きなテーマになる」

と目を輝かせて、こう続ける。

「でも、予想もつかないようなことが見つかるのが探査の醍醐味。以前は誰も月に水があるなんて考えてもいなかったのに、今ではどうも水がありそうだという話になっている。同じように、いまの段階では想像もつかないような何かが見つかることを期待しています」

 地球や生命の成り立ちという「過去」の発見と、人類の新たな居住地という「未来」の発見が重なる、ある意味で「時空」を超えた宇宙への旅がはじまった。

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