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「ISSは1998年に建設が始まり、2011年に完成し、日米欧とロシア、カナダの15カ国が国際協力によって運用しています。そこでさまざまな成果が得られるようになるにつけ、“ISSの次”が見えてきた。いずれISSにも寿命が来ます。また、運用が安定してきたので、わざわざ国の宇宙機関が実施しなくても、ISSは能力と意欲のある民間企業に任せ、新たな技術開発する拠点として月周回の宇宙ステーションをつくってみよう、すぐには難しいかもしれないけれど、そこから月面に行こう、という機運が盛り上がってきたのです」

 ISSは2024年までは現行の国際協力体制で運用することが決まっているが、米国は2025年以降、資金拠出をしない意向を表明しており、民間企業にシフトしていく可能性が高まっている。

月の南極域には氷があった!

 もちろんゲートウェイ、ひいては月面着陸を目指すことには科学的なモチベーションも大きい。

月面を歩くアームストロング船長 (C)NASA

「アポロ計画では計400キログラムのサンプルを持ち帰り、終了後もしばらく分析が続けられましたが、当時は行けるところが限られていた。つまり、月の表側、常に地球の方を向いている面の、それもクレーターなどがない平らな場所にしか着陸できませんでした。そのため、研究としてはある程度限定されていたのです」

NASAが作成した氷の分布図。向かって右が北極、左が南極。青いところに氷がある (C)NASA
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 ところが、1990年代半ばから米国が月周回探査機の「クレメンタイン」や「ルナ・プロスペクター」を、日本が月周回衛星「かぐや」を打ち上げると、状況が一変。

「アポロ時代よりも精度の高い観測が全球レベルで行われるようになり、科学者が興味を持つデータが次々に出てきました。結果、人類が降り立ったことのない月の裏側や北極・南極に行きたいという意欲が生まれてきた」

 とりわけ科学者が前のめりになっているのが、南極域だ。ここに何があるかと言えば、水。正確に言うと、氷である。

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