韓国の保守派・右派の動きに要注意

 さらにカーク記者によると、韓国内部で、文政権の北朝鮮に対する政策や認識に反対する右派・中間派の動きが米国の政策にも影響を及ぼす可能性があるという。同記者は次のように述べる。

・文政権への反対派は、北朝鮮の金正恩国家委員長を残虐な人権弾圧の独裁者として非難し、金委員長のソウル訪問にも強く反対する。同時に米国との連帯を強調し、米韓同盟の重要性を改めて訴える。トランプ政権は、北朝鮮の完全非核化を主張する韓国の保守派の主張が拡大し、文政権にも影響を及ぼすことを期待している。

・だが韓国の保守派は、金委員長をあくまで敵視する点でトランプ政権の対北認識に合致しない部分もある。つまり、トランプ政権は、金正恩氏が非核化を公約どおりに進めることを条件として協調姿勢をとるのに対して、韓国内の保守派は金政権との協調自体にも反対する。その保守派のパワーの広がりは、トランプ政権の対北政策の土台をも崩しかねない。

 以上のように、韓国内の保守派・右派は、文政権の対北融和政策に激しく反対すると同時に、米韓同盟の堅持を主張する。ただし、金正恩委員長とその政権をどうみるかについては、トランプ政権の政策が甘すぎるとする傾向もみられる。そのため、仮に保守派・右派が韓国民の支持を高めた場合、米国政府の対北政策を一部否定する動きにまでつながる可能性がある、ということになる。

 韓国内部における文政権への支持の状況は、日本にも大きな余波をぶつけることになる。韓国内の保守派・右派の動向には十二分の注意が必要だといえよう。