40ドル割れの可能性が出てきた原油価格

高まる原油需要減少の懸念、減産合意の実効性には疑問符

2018.12.21(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55014
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 OPECでは、UAEのマズルーイ・エネルギー相が10日、「来年3月末までに確定する」との見通しを示したとおり、国別の割当量の調整は難航している。サウジアラビアが今回もOPEC全体の減産量の半分(日量40万バレル)を負担しないと合意の水準にまで達しないと見込まれるが、サウジアラビアにその覚悟があるのだろうか。

中国、インドで原油需要に陰り

「来年を通して世界の原油市場は供給過剰が続く」としていた国際エネルギー機関(IEA)は、12月13日に「主要産油国の減産合意により世界の原油市場はこれまでの予想よりも早く来年第2四半期には供給不足になる可能性がある」との見解を示した。IEAは減産に加えて「来年第2四半期に原油需要の伸びが加速する」ことを理由に挙げている。

 だが、はたしてそうだろうか。

 主要産油国が調整にもたつく中で、市場関係者の間では「日量120万バレルの減産では需給を均衡させるには不十分である」との声があがり始めている。世界経済の減速により世界の原油需要が減少するとの懸念が強まっているからである。

 世界最大の原油輸入国となった中国の11月の原油輸入量は日量1048万バレルと過去最高となったことが10日判明したが、市場が反応することはなかった。だが、翌11日から14日にかけて「11月の自動車販売台数は前年比14%減」「11月の小売売上高は15年ぶりの低い伸び」「11月の鉱工業生産は3年ぶりの低い伸び」など中国経済の悪化を示す材料が続くと原油市場は敏感に反応した。

 世界第3位の原油消費国となったインドでも、11月の新車販売台数が前年比2%減となるなど同国の原油需要に陰りが見え始めている。金融システムの脆弱性を抱えるインドで中央銀行に当たるインド準備銀行の総裁が10日突然辞任したことも心配の種である。辞任理由は明らかになっていないが、「政府との軋轢が原因」と噂されている。

悲惨な状況になっている米レバレッジドローン市場

 世界最大の原油消費国である米国の原油需要は引き続き好調だが、金融市場の変調ぶりが鮮明になってきている。

 原油価格が50ドル割れした17日の米国の株式市場のS&P500種株価指数が1年2カ月ぶりの安値となった。原油安が世界経済の成長の弱さのサインとみなされている(12月7日付ロイター)背景には、原油価格の下落により「信用スプレッド(米10年物国債利回りとジャンク債利回りの差)」が拡大し始めたことがある。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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