三菱地所は2018年12月、横浜ランドマークタワーで自律走行型のコミュニケーションロボットの本格運用を開始した。69階展望フロア「スカイガーデン」からの景色を日本語に加えて英語と中国語の3カ国語で紹介したり、展望フロアの施設を案内したりして来訪者を“接客”する。増加傾向にある横浜市内への観光需要の取り込みや、訪日外国人観光客へのサービス向上が狙い。

コミュニケーションロボットで来訪者を案内

 三菱地所が導入したのは、日立製作所が開発したコミュニケーションロボット「EMIEW3(エミュー3)」(写真1)。3体をスカイガーデンに配備して施設案内などに活用する。さらに、1体をスカイガーデンへのチケットを販売する2階に配備してチケット購入の案内などに役立てる。

写真1 三菱地所が横浜ランドマークタワーの展望フロアに導入した日立製作所の自律走行型コミュニケーションロボットEMIEW3

 エミュー3は頭部に複数のマイクを内蔵しており、来訪者が話しかけると周囲の雑音を取り除いて音声を認識する。聞き取った音声をスカイガーデンのバックヤードに設置したサーバーにいったん無線送信して言語を識別し、適した回答を引き出したうえで合成した音声をスピーカーから出力する。首元には周囲の状況を把握するセンサーを備え、前方の障害物を回避しながらスカイガーデンのフロア内を自律走行できる。

 また、エミュー3は脚部にバッテリーを備えている。バッテリーの残量が少なくなると管理者にアラートを出して交換を促す。バッテリー残量が極端に少なくなったときには壁際などフロアの片隅へ自ら移動して電源を落とし、バッテリー交換を待つ。こうすることで仮にバッテリー交換が間に合わなかった場合でも、多くの人が訪れるスカイガーデン来訪者の通行の妨げにならないように考慮した。