次に運用コストがわかりづらいという点。ファンドラップの運用コストは固定報酬や成功報酬、それらの併用など、コスト体系が証券会社によって違っています。金融機関としては明確にしているつもりでも投資家から見ると複雑で、投資する前、サービスを検討しているタイミングでは明確でない面があります。

 投資を丸投げ(お任せ)する不安に関しては、そもそも投信も同じでは?という意見がありますが、ある程度のまとまった資金で複数の投信に投資するファンドラップでは意味合いが違ってきます。運用開始時のコンサルティングや商品選定、運用中のレポーティングなど、その金融機関・担当者をどこまで信頼できるのか。主観的な判断に委ねる部分が多くなりそうなことから、相対的に不安が大きくなるようです。

パフォーマンスが下がるとコスト意識がさらに高まる

 運用コストについては、高いなら高いぶんパフォーマンスが良ければ納得できるかもしれません。しかし、残念ながら最近の研究ではコストとパフォーマンスの間に合理的な相関性を見い出せていません。パフォーマンスに限らず何らかのメリットが得られれば納得できるのかもしれません。

 一般に株式市場の上昇局面では、運用コストの高さについて強い不満が表に出ることは少ないようです。「他の金融商品・サービスに比べてパフォーマンスは低いけど、ベンチマークに勝ってるし(もしくは元本割れしていないし)、ちょっと様子をみよう」と思うのではないでしょうか。これまで5年ほど日本株式は上昇トレンドにあったので、ファンドラップのコストには目をつぶることができたのかもしれません。

 株価の調整・下落局面に入ると、コストに対する印象は大きく違ってきます。足元では米国の景気後退期入りが現実味を帯びてきています。実際に2018年10月は米国株式に連動して日本株式も下落し、ファンドラップの預かり資産残高も7カ月ぶりに前月比で減少に転じたという報告もあります。投資家がパフォーマンスにより敏感になっていくことが予想されるなかで、ファンドラップの運用コストが気になる投資家は増えていくかもしれません。