金融機関が積極的に進めるファンドラップ

 個人投資家にとってファンドラップ最大のメリットは、最初に運用方針を相談して決めるだけで後は運用のプロに任せられる点です。ある程度の投資資産をもち、自分で勉強したり、情報収集したりするのが苦手な投資家にはうれしいポイントでしょう。

 金融機関も収益確保・拡大のために大きな期待を寄せています。たとえば大和証券では、ファンドラップの契約者が指定した相続人に、運用資産から生前贈与できるサービスを開始。全支店へ相続コンサルタントを配置する計画も進めています。野村證券は投信以外(個別株式や債券など)も組み込んだ「ラップ口座」に、信託の仕組みを取り入れた「ラップ信託」を提供中です。

 ファンドラップは比較的多くの資産が必要になるので、投資家の多くは高齢者です。顧客の高齢化に対応しながらサービス拡充を進めていることが見て取れます。

 ファンドラップへの取り組みは地方銀行でも進んでいます。商業銀行である地銀は、自社のみで投資家と投資一任契約を結ぶことができません。資産運用会社などの他社サービスを介すことが必要になります。そこで、一部のネット証券では地銀向けのファンドラップシステムを無料もしくは低コストで提供するサービスを行っています。地銀での取り扱いが本格化していけば今後、ファンドラップ拡大の新たな局面を迎える可能性もあります。

ファンドラップでよく指摘される3つの注意点

 追い風を受けている感があるファンドラップですが、個人投資家にとっては注意点もあります。すでによく知られていることですが、ファンドラップには(1)運用コストが高い、(2)運用コストがわかりづらい、(3)運用丸投げで大丈夫か――という指摘がされています。

 ファンドラップの運用コストは、ラップ運用の手数料のほかに、投資する投信の信託報酬も別途かかります。なかには投資顧問料や運用管理料の名目で徴収されたり、解約時にかかる信託財産留保額が取られたりすることも。信託財産留保額以外の運用コストは投資期間が長くなればなるほど運用パフォーマンスに及ぼす影響が大きくなることから、投資家がファンドラップを敬遠する大きな理由のひとつとなっています