科学をすべての学生に教えることにより、科学者だけではなく、すべての人々が科学のサポーターとなってくれているのと同様に、起業力教育もすべての学生を対象にすることにより、人々が起業の素晴らしさ、必要性を理解し、起業のサポーターとなってくれることを目指すということである。

 具体的に何を理解してほしいのかについては、“Entrepreneurship Education at School in Europe”レポートでエストニアが明確に言っているように、

「・小学生レベルでは、例えば、モノを買うにはお金を払う、お金は仕事をして稼ぐということを理解し、また、他の子と協力するノウハウを学ぶことが期待される。
・中学生レベルでは、例えば、異なる教育レベルの人たちの労働市場における機会を理解し、また、所有者、起業家、雇用主、従業員や失業者となることの意味を知ることが期待される。
・高校生レベルでは、例えば、職業選択のひとつとして起業があることを理解し、また、自分たちが起業家となることが可能であることを理解することが期待される。」

 これが大いに参考になるであろう。それに日本の生徒の世の中への無関心さを変えるため、社会的課題解決に対する情熱を植え付けることができれば、大学に入ってからの自らの行動を変えることにつながるのではなかろうか。もちろんそのためには、同レポートで各国が指摘しているように、先生に対する教育やサポートも不可欠である。

 科学をすべての学生に教えることにより、科学者だけではなく、すべての人々が科学のサポーターとなってくれているのと同様に、起業力教育もすべての学生を対象にすることにより、人々が起業のサポーターとなってくれる・・・。それを目指して、全高校生に一度は起業力について考えてみてほしいものだ。