人材に対して責任を持つ

――人の価値についての考え方を伺います。まず、社内の人材とどのように向き合ってきたのでしょうか。
 
ベルガー 人材は、私たちにとって重要な資産ですので、もちろん待遇を良くする必要がありますし、環境も整える必要があります。取り組みの例としては、創立後20年経ってから、100%自分がオーナーという形から、パートナーシップという形態に変えました。株式を社員に保有してもらって、共同オーナーという形になってもらっています。それによって、ローランド・ベルガーで働く魅力はさらに高まっていると思います。

――社外の人との関わりについてはいかがでしょうか。

ベルガー 社内の場合とは違った視点になりますが、人を大事にすることを心がけています。それには、3つの理由があります。

 1つ目として、私たちがクライアントと仕事をする時には、その会社の看板のために働いているわけではなく、その会社に勤める人たちのために仕事をしているわけです。だからこそ、その人たちと信頼のおけるプロフェッショナルな関係を作らなければならないと考えています。その関係は最終的に、友情に、あるいは素晴らしいネットワークに発展していくことにもつながっていくでしょう。

 2つ目には、私たちの仕事は常に企業の中の「人」に対して変化をもたらすものだと認識していなければならない、ということです。たとえば、新しい組織を設計しているのであれば、その組織に属している人たちに対しても影響があります。これまでの組織にあった職務が、新しい組織に改編する際、そこに所属していた人の仕事を奪ってしまうという可能性もあります。そういう場合には、組織の中でその人がさらにパフォーマンスを発揮できるような新たなソリューションを見つけることを心がけています。

 3つ目としては、コンサルティング会社は、人材を削減するアドバイスを時に提供しなければならない場合もありますが、そのような場合でも、クライアントの社員の方々にとって受け入れられるような人間的なやり方を常に考えています。

 実際に、アメリカの競合他社と比べて、私たちはクライアントの中にいる人たちに対する対処がより優れていたのだと思います。というのも、アメリカ人が人の価値と捉えている考え方と、ヨーロッパ人や日本人の方々が考えている「これが人間の価値だ」という考え方に違いがあるからだと思います。

 私たちが成功してきた理由は、トップのマネジメント層から組織の一番下の階層の方々まで、人材に対して常に責任を持つ形で対処してきたためだと信じています。人の将来に影響を与える仕事だから、という認識があるからだと思うのです。