いまなお爪痕深いIMF危機

 今なお、あちこちにその痕跡が残っている。されど21年だ。「IMF」は徐々に歴史の中の出来事にもなりつつある。

 韓国経済も企業も、その後短期間でめざましい回復を見せた。IMFからの支援金は返済し、「構造改革」を通して競争力をさらに高めた大企業は急成長を続けた。

 その一方で、「IMF」を機に、韓国は超競争社会、超格差社会に変質してしまった。

 あの時、採算が悪化した企業は売却し、業績が悪化すると大規模合理化をすることでしのいだ企業は、その後も、「人に優しい」とは言いがたい「合理的」と称する経営を続けた。

 文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権が、「包容」を掲げ、最低賃金の引き上げ、労働時間短縮、非正規職の正規職転換などを優先課題として掲げるのは、「格差社会」を何とか是正しようという信念があるからだ。

 こういういう「信念」の原点がIMF危機とその克服過程にあったことは間違いないだろう。

なぜ、いま、IMF危機の映画を見るのか?

 では、今の時期にどうしてこんな映画がヒットするのか?

 一時は見たくも思い出したくもなかったその時代についての映画を見ると言うことは、それだけ、時間が経過し、危機を克服したということではある。

 だが、その一方で、「漠然とした不安感、が多くの観客を引き付けているのではないか」(韓国紙デスク)という指摘も多い。

 韓国経済は、最近、明るい話題が少ない。経済成長率は鈍化し、青年失業率は最悪の水準だ。さまざまな統計発表があると、メディアは「IMF危機の時を超える水準」「IMFの時に匹敵する水準」などと書く。