韓国政府は「危機など起きない」と繰り返していたからだ。2人が用意した資金をまずつぎ込んだのが「ドル買い」だった。

 「ウォンは必ず暴落する」という予想を立て、街金で買えるだけのドルを買い込んだ。

 これが大当たり。次に目をつけたのが、ソウルの不動産だった。

 「必ず暴落する」と見て、底値で不動産を買いまくり、その後、大金持ちになり「投資の鬼才」と呼ばれる。

 この3つのストーリーが、1997年の韓国の大混乱期にめまぐるしく展開する。「国家不渡りの日」はそういう映画だ。

 IMF危機は、韓国では「朝鮮戦争以来最大の国難」(1997年12月の大統領選挙で当選して収拾に追われた金大中=キムデジュン=元大統領)と言われた。

 半分以上の大手財閥、金融機関が連鎖倒産した。サラリーマン、商店主、自営業者・・・多くの韓国人の人生が変わってしまった。

 筆者の周りにも、もちろん、IMFで人生が変わった人たちがたくさんいる。大企業の「人員整理」はすさまじかった。肩たたきどころの騒ぎではなかった。

 1998年に韓国を訪問した時、40代初めの知人がほとんど「失業者」だったことがある。