大きな働き方改革は「2ステップ」で

 具体的には、どこから手をつけたらよいのでしょうか。

 ノルマからは「部署として1年間で49冊をつくりなさい」という強いメッセージを感じますが、一方で49冊の「つくり方」にはそこまでこだわっていないと想像できます。だからこそ、「つくり方」を工夫するのです。

 たとえば、「1冊の本を1人でつくり切る」という働き方を捨てる。プレイングマネジャーは年間6冊を自分の力でつくり、残りの3冊はメンバーに手伝ってもらいながらつくる。メンバーがつくる1冊1冊も、チーム間で協力し合いながらつくる。このように「メンバーが年間8冊、プレイングマネジャーが年間9冊をつくる」のと同じだけのボリュームを確保しつつ、部署内の一人ひとりのノルマを設定し直すのです。これだけで、プレイングマネジャーの負担もメンバーの負担も大きく減らすことができるはずです。

「1人1担当制」は、職人としての属人的な技を発揮しやすい働き方である半面、もしも体調を崩して長期休養を余儀なくされると、仕事が回らなくなってしまいます。1人の目しか通していないことで思わぬミスも起こり得るし、リスクの大きい働き方でもあります。

「複数担当制」でチームを回して、当面は「49冊」というボリュームを保つという方法は、単に「負担が軽くなる」という以上のメリットを部署にもたらしてくれることでしょう。

 このように、まずは上層部に求められているノルマを守りつつ、部署内のやり方を変えてみる。そしてうまく回り出したところで、次のステップとしてノルマの立て方の提案をする。こんな「2ステップ構え」で進めると、会社としての大きな「働き方改革」も起こしやすくなります。