では、どうするべきか。マイナスな状況のプレイングマネジャーは一層頑張るべきでしょうか?

 決してそんなことはありません。プレイングマネジャーは一度、「頑張り」を捨てて、気持ちを楽にしていただきたいのです。

「マネジャーである自分が頑張らなければ」「自分がチームを引っ張らなければ」「自分が優秀でなければ」という意識を捨てる。「責任感」や「プライド」を肩から下ろす。「働き方改革」を起こすための環境づくりは、ここから始まります。

 プレイングマネジャーは、自分が疲れていてもなんとか頑張り、会社から求められている数字にプレイヤーとして応えながら、長時間労働の中でメンバーのマネジメントを行っています。そんなときのプレイングマネジャーは、おそらく自覚はないのでしょうが、知らず知らずのうちにメンバーを責めるような言葉を会話の端々で口にしていたり、不機嫌な雰囲気を周囲に振りまいていたりするものです。

 自分自身が不機嫌な顔をして毎日出社し、言葉の端々で責めるようなことを言いながら全員の成果を刈り取って、褒める言葉も少なく、メンバーが挙げた素晴らしい成果を上司に伝える余裕もない。これでは、メンバーとの関係性がよくなるはずもありません。

 まずは自分自身の「疲れ」を取りましょう。困ったことがあったらメンバーに助けを求め、メンバーを信じて仕事を任せましょう。「よりよい上司になろう」とする意気込みを捨て、「苦手なこともあるし、うっかりミスもある」ありのままの姿をメンバーに認めてもらいましょう。それがメンバーとの関係性を再構築する第一歩です。

 疲れが取れて自分自身のコンディションが良くなってくると、メンバーの表情を見る余裕が生まれ、視界が変わってきます。メンバーの見え方、チーム全体の見え方も変わってきます。メンバーの素敵な点やチームにとっての前向きな点がどんどん見つかり、それを言葉にすることができるようになってくるでしょう。すると自然に、働き方改革に向けた生産性向上の方策を考える雰囲気が芽生え、「残業ゼロ」への道を進み始める土壌が整ってくることでしょう。