しかし、30歳を過ぎると、借り上げのアパートから出て行かなくてはならない。その引っ越し先は自分で探さなくてはならず、家賃の補助も1万円以下になるという。その際の問題は、四日市周辺は慢性的に住宅不足であり、運よく部屋が見つかったと不動産屋から連絡があっても、下見をする余裕すらないのだという。

 それゆえ、空き部屋が見つかった瞬間に賃貸契約をしなければ、あっという間に誰か他の人が借りてしまうらしい。

 このような住宅問題は、東芝メモリの技術者の勤務意欲を削ぐだけでなく、新卒の学生をドン引きさせてしまうだろう。これも、東芝メモリが会社として早急に対策しなくてはならない深刻な問題である。

若者が来ない、定着しない企業は滅びる

 新卒の学生の数は、今後も減り続ける。そして、新卒の学生が来ない、または定着しない企業は滅びると思われる。

 東芝メモリの2017年度の決算は、売上高1兆2049億円、営業利益4791憶円、営業利益率39.8%だった。2018年度の業績はもっと良かったはずである。そして、今後も成長が期待できる。

 しかし、東芝メモリが持続的に成長していくためには、若者を採用し、彼らが定着する企業にならなくてはならない。

 そのためには、たっぷり稼いでいる今のうちに、その利益の一部を使って、クルマ通勤の問題や住宅問題を解決する必要がある。これは、東芝メモリのトップマネジメントの問題である。

 現在の状況で、新卒者が四日市工場に就職する場合、借金をしてクルマを買わねばならず、毎日大渋滞に巻き込まれ、駐車場争奪戦を行うことになり、5年もすると住宅問題に悩むことになる。東芝メモリに就職することが、“冒険的”行為になってしまうわけだ。

 東芝メモリは、可及的速やかに、社員がストレスなく通勤し、安心して生活できる環境を整える必要がある。その上で、東芝メモリの魅力を伝えるべく、最大限の努力をする。そうすれば、新卒者が“技術的にワクワクした冒険の旅”に出ることができ、東芝メモリの未来は明るいものになるに違いない。

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