より大局的な観点に立って言えることは、1954~55年生まれという、この男性事務職員氏の属する世代から言える「教育自由化」の因果でしょう。

 第2次世界大戦が終結した直後、1946、7年に始まる「ベビーブーム」は、今日の高齢化社会で人口統計の高齢層に大きなこぶを作っています。

 いわゆる「団塊の世代」がこれに相当します。いま70代に手が届いたか、というあたりの人たちの人口は多い。

 また、これら「団塊世代」の子供たちが属する「第2次ベビーブーム」、今日の年齢で30~40代にピークのすそ野がひくあたりの人口も多い。

 戦後のベビーブームに伴って学校が増設され、1960年代後半には「講座倍増」で大学の学生受け入れ定員も大きく増えた。

 その後、同世代人口が減少し始めるものの、大学の学生定員などは初期投資もしていることですし、多いまま、という状況にあったのは客観的な事実です。

 今日の50~60代あたりの世代(私自身もそこに属します)は人口に比べて大学定員数が多く“恵まれていた”。

 日本では教育が自由化されています。それは素晴らしいことであって、入学試験など公正な(であるはずの)セレクション・ハードルさえ越えれば、誰もが学びたいことを学ぶことができる。

 そういう自由を謳歌しているはずですから、大変に高い知的水準を誇る(はずの)社会であるのでしょう。実際には相当な距離があるように思われますが・・・。

 今日、少子高齢化の中で、大学は経営のため教育サービス産業化が著しく、漢字も書けない、アルファベットも覚束ない、分数小数の計算もできないという「大学生」が決して少なくありません。