そんな中、11月8日、ディズニーは、米国で映像配信サービス「Disney+」を開始すると発表。

 今回の買収劇の最大の目的の一つが、ディズニーが「独自のネット配信ビジネスに参入するための布石」として、動画配信「Hulu」(フール―)の経営権を取得することだった。

 さらに、フォックスの映画やテレビスタジオ、関連するキャラクターなどの知的財産(IP)を手中に収めることも買収の主な背景だ。

 その「IPを最大限に生かす」という意味で、ディズニーが展開するテーマパーク事業は、最大の強みだ。

 ディズニーは先頃、「カリフォルニアとフロリダに、2019年の夏と秋に、それぞれスターウォーズのテーマパークを開業する」ことを明らかにした。

 テーマパークビジネスの元祖であるディズニーが、傘下となった20世紀フォックスによる世界初のテーマパーク新規参入を阻止したかった本当の背景がここに垣間見える。

 ディズニーの基幹事業への競合は許さないということだろう。

 フォックスの会長のメディア帝王のルパート・マードック会長はディズニーに身売りした本当の理由をこう話す。

 「10年後には、大手米企業4社と大手中国企業2社が市場を席巻し、最終的に生き残るのは『ディズニー』だからだ」

 巨大化するディズニー帝国の隠された「野望」が次第に暴かれようとしている。

(取材・文 末永 恵)