北海道に学ぶ大規模停電時のエネルギー確保術

北海道胆振東部地震・大規模停電の教訓をどう生かすか

2019.01.11(金) 柴本 淑子
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54818
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分散型エネルギー拠点を展開し、都市防災機能を向上

 前述の市役所にも空調熱源を供給し、札幌市中心部などへの地域熱供給事業を行っているのが、北海道熱供給公社だ。地域熱供給とは、熱供給設備(プラント)から導管を通じて複数の建物に高温水や冷水、蒸気を供給して、冷房、暖房、給湯、ロードヒーティングなどを行うシステムである。同社は現在、札幌都心部に5つのエネルギーセンター(以下EC)を持ち、再生可能エネルギーや天然ガスを活用したコージェネシステムによりエネルギーを供給している。

 当初は、札幌市の公害対策として1971年に設立された中央ECのみからの、一極集中型の熱供給だった。その後、分散型供給拠点の設置を進め、札幌駅南口EC(2003年)、道庁南EC(2004年)、赤れんが前EC(2014年)と、相次いで操業、エネルギー供給を開始させた。2015年からは、道庁南ECと赤れんが前ECの間で冷水連携運転をスタート。さらに高い省エネ率とCO2削減効果を上げ、相互のバックアップで安定供給のための体制を向上させている。

 そして2018年4月には、複合施設「さっぽろ創世スクエア」に設置された創世ECが供給を開始。ここは、国交省から災害時業務継続地区整備緊急促進事業の認定を受け整備したプラントであり、札幌市が策定した「都心エネルギーマスタープラン」に掲げる低炭素化、強靭化、快適・健康を具現化させる分散型供給拠点となっている。

 ちなみに、「さっぽろ創世スクエア」は、劇場や図書館、オフィス、店舗、放送局などが入った地上28階・地下4階建てのビルで、同ECは地下4階に設置されており、同ビルへ冷熱・温熱・電力の供給を行っているほか、札幌市役所庁舎へ西2丁目地下歩道を通じて冷温熱を供給している。

「さっぽろ創世スクエア」は、地震の際に開放されたビルの1つで、電気が使えただけでなく、劇場を備えていたため、じゅうたん敷きのロビーは集まった人たちが寝る場所として提供された。

寝る場所として提供された「さっぽろ創世スクエア」のロビー

 地震発生時、創世ECではどんな過程を経てエネルギーを供給し、ビル内の業務が継続できたのだろうか。北海道熱供給公社の執行役員で、営業部の中田貞志(なかた・さだし)部長に聞いた。

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(しばもと・よしこ) フリーライター。お茶の水女子大学文教育学部卒。日本経済新聞社を経て、『ひよこクラブ』『たまごクラブ』『マイ・フォーティーズ』『毎日が発見』の各編集長を歴任。東洋大学理工学部非常勤講師。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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