北海道に学ぶ大規模停電時のエネルギー確保術

北海道胆振東部地震・大規模停電の教訓をどう生かすか

2019.01.11(金) 柴本 淑子
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54818
  • 著者プロフィール&コラム概要

「強靭」の取り組みの方向性として、非常時に都市機能を維持する高い防災性を備え、多様なエネルギー源から融通して供給できる体制の構築が挙げられる。札幌市では現在、コージェネの導入比率は7%程度、72時間以上の電力を確保できる非常用発電機を設置している企業は9%程度と、非常に低い。そのため、非常時の避難・一時滞在場所に対する電力、熱、水の供給継続、事業が継続できる仕組みづくりを急いでいる。

 そして「快適・健康」は、環境エネルギーによる快適な屋内・屋外空間づくりの支援だ。現在は、マスタープランの実現に向けた中期的な実施計画であるアクションプランの検討を進めている。

 もともと札幌に震度4以上の地震があるのは極めてまれで、いわば「自然災害の少ないまち」だった。そういった強みを生かし、強靭なまちづくりに向けて計画が歩み始めたときに起きた地震による停電だった。今回の地震の影響を受け、市では「災害に強いまち」というコンセプトに変えていきたいという。

 地震発生後、夜が明けるにつれ、行き場を失った観光客を主体とする帰宅困難者が、市役所の1階ロビーに集まって来た。ここでは、非常用発電機により電源が確保され、市内のコージェネ活用のエネルギーセンターから空調用の冷水供給が継続されたので、市民もスマートフォンの充電にやって来た。その数はどんどん膨れ上がり、ロビーはごった返して、外にも列ができて、人々であふれかえった。こういった状況を踏まえ、早期から災害時の非常配備により出勤していた髙森室長ら都心まちづくり推進室の職員は、コージェネを導入して電気を確保しているビルやエネルギー事業者と協力し、それぞれのビルのロビーを順次開放していった。  

 そこでは、スマートフォンの充電サービスの提供や、家電量販店の協力による情報提供用のテレビの設置が行われるとともに、一部のビルでは帰宅困難者への居場所や食料などの提供が行われた。

札幌市役所内の充電スペース

 今回の地震は「都心エネルギーマスタープラン」が策定後されて間もなく起きてしまった。しかし、それは「災害時に必要なものが何か、よく分かるきっかけにもなった」と髙森室長は話す。「災害時の停電に対する準備は非常に大切で、地道にやっていく必要があります。行政ができること、やるべきことは何なのか。さらに考えていきたいと思います」。

4
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

(しばもと・よしこ) フリーライター。お茶の水女子大学文教育学部卒。日本経済新聞社を経て、『ひよこクラブ』『たまごクラブ』『マイ・フォーティーズ』『毎日が発見』の各編集長を歴任。東洋大学理工学部非常勤講師。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

>>最新記事一覧へ