北海道に学ぶ大規模停電時のエネルギー確保術

北海道胆振東部地震・大規模停電の教訓をどう生かすか

2019.01.11(金) 柴本 淑子
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54818
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環境エネルギー施策との一体化で災害に強いまちへ

 大規模停電は行政にも大きな課題を投げかけた。次は、札幌市の対応を取り上げてみよう。

 地震の半年前の2018年3月、札幌市では「都心エネルギーマスタープラン」を策定したばかりだった。以前から環境保全に力を入れていた札幌市だが、これは、さらに低炭素で持続可能なまちづくりのビジョンとその実現に向けた戦略を示したもので、環境エネルギー施策とまちづくりを一体化させるという考え方に基づき、札幌市の特性を踏まえた上で生まれたプランである。

札幌市 まちづくり政策局
都心まちづくり推進室 室長 髙森義憲 氏

 策定の経緯と概要について、札幌市まちづくり政策局都心まちづくり推進室の髙森義憲(たかもり・よしのり)室長に聞いた。

「考え方のルーツは1972年の札幌冬季オリンピックにさかのぼります。当時は暖房に使っていた石炭のばい煙で、大気汚染が深刻でした。そこで、オリンピックを青空の下で開くことを目指して、暖房のために地域冷暖房プラントから配管を通じ、高温水での熱供給を開始。開会時には見事な青空が広がりました。こうした先輩たちの業績から、まちの発展には環境エネルギーへの取り組みが不可欠ということを学んでいたのです」

 同プランが掲げる基本方針は大きく3つ。「低炭素」「強靭」「快適・健康」である。さらに細かく現状や課題、取り組みの方向性が挙げられているが、主なものを見てみよう。

 まずは「低炭素」。札幌都心部の建物は、50年近く前の札幌冬季オリンピックに向けて建てられたものが多く、老朽化が進んでいる。そんな中、2030年度には北海道新幹線の札幌開業が予定され、2度目の冬季オリンピック・パラリンピック招致に向けた取り組みも必要となるため、多くの建物の建て替えや改装が進むと予測されている。そこで、札幌市では、建物の更新に合わせた省エネビルへの誘導と、コージェネを核としたエネルギーの面的利用の拡大を目指そうというわけだ。さらに、低炭素の取り組みをきっかけに、同時に経済成長にもつなげていくことが示されている。

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(しばもと・よしこ) フリーライター。お茶の水女子大学文教育学部卒。日本経済新聞社を経て、『ひよこクラブ』『たまごクラブ』『マイ・フォーティーズ』『毎日が発見』の各編集長を歴任。東洋大学理工学部非常勤講師。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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