北海道に学ぶ大規模停電時のエネルギー確保術

北海道胆振東部地震・大規模停電の教訓をどう生かすか

2019.01.11(金) 柴本 淑子
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54818
  • 著者プロフィール&コラム概要

定山渓万世閣ホテルミリオーネ
支配人 前村哲児 氏

 この常用発電機はコージェネで、10年ほど前までは電力会社の電気と併用していたが、重油の価格が上がってからは使用を止めており、その後は数年間、電力不足になる冬場だけは動かしていたという。しかし、それ以外のときでも、「非常時にきちんと稼働するよう毎月の試運転は欠かさなかった」とホテルの前村哲児(まえむら・てつじ)支配人はいう。燃料は、常時3~4日分は確保しており、同ホテルは一時的な避難場所にもなっている。

「停電が長期化することを懸念して、発電機の負荷を軽減し、燃料の重油の消費量を抑えました。たとえば照明を半分だけつけたり、6基あるエレベーターは3基だけ動かしたり、プールやバーカウンターの営業はストップさせるなどです。しかし、基本的には普通に営業を継続していました」と、前村支配人は当時を振り返る。

 大規模停電によって交通網が動かなくなり、帰れなくなった同ホテルの宿泊客だけでなく、停電中の近隣のホテルからも客がやってきて宿泊した。その際、宿泊客に大きな安心を与えたのが、ここでは「普通に過ごせる」ということだったという。明かりが灯っている、お風呂に入れる、温かい食事が出る、テレビから情報を得られる。それがどれだけ宿泊客の安心・安全につながったかは、のちに当時の宿泊客から手紙などで感謝の言葉が多数寄せられたことからも察せられた。

宿泊客からの手紙

 食糧や飲料水については、ホテルとしてそれなりの備蓄ができていた。たまたま地震当日が食糧の配達日にあたっていて大量に届いたこともあり、また水は280t常備していた。しかしそれ以上に、大事だったのが、やはり電気だ。

「当たり前のことが非常時でもできる。これがいかに宿泊客はもちろん、従業員や近くに住む従業員の家族すべてを守り、安心と安全を与えられるかを実感しました。非常時の備えは本当に大事です」(前村支配人)

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(しばもと・よしこ) フリーライター。お茶の水女子大学文教育学部卒。日本経済新聞社を経て、『ひよこクラブ』『たまごクラブ』『マイ・フォーティーズ』『毎日が発見』の各編集長を歴任。東洋大学理工学部非常勤講師。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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