北海道に学ぶ大規模停電時のエネルギー確保術

北海道胆振東部地震・大規模停電の教訓をどう生かすか

2019.01.11(金) 柴本 淑子
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54818
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北海道胆振東部地震の発生後、帰宅困難者に開放された「さっぽろ創世スクエア」では、テレビによる気象情報や災害情報などの提供が行われていた

平常時からの自家発電設備の導入・活用が役に立つ

2018年9月6日午前3時8分に発生した「北海道胆振東部地震」では、北海道では初めての最大震度7が観測された。一時は北海道全域が停電する、いわゆる「ブラックアウト」という状態に陥った。復電後、道内では2週間近くの間、節電が呼びかけられた。

 停電により人々の生活や企業活動の継続に支障が生じたが、このような状況下でも、非常用発電機やコージェネレーションシステム(コージェネ:ガスなどを燃料に、熱と電気を生み出して供給するシステム)などの常用自家発電設備のある施設や事業所では、電気を使用することができ、安全・安心の確保にもつながった。電気だけでなく、熱も供給できるコージェネ設備を擁する地域冷暖房の供給会社では、空調用の熱供給も継続でき、9月の北海道とはいえまだ暑さが厳しいシーズンを乗り切った。

 今回、被災地の札幌で、停電中も事業継続の確保ができた例を取材した。今回のブラックアウトは不測の事態であり、多くの道民生活に不安を与えたが、事前の備えがあれば安心・安全が守れることを示した事例を紹介する。(取材・文:柴本淑子)

休止していた常用発電機で停電時でも通常営業したホテル

 定山渓温泉は、札幌の中心部から車で1時間足らずで行くことができ、年間120万人もの宿泊客が訪れる人気の温泉地。約20年前にオープンした「定山渓万世閣ホテルミリオーネ」は、客室312室、従業員はパートを含め約150人の大規模リゾートホテルだ。

 地震で道内全域が停電し、各所で機能が滞る中、同ホテルは電力を自前で確保し、通常に近い営業を続けることができた。そこで活躍したのが、ホテル開業時から地下2階に設置してある常用発電機だった。

地下2階に設置されている常用発電機

 使用する燃料はA重油で、その出力は750kW。一方、ホテルの通常消費電力は1日あたり約600kWで、ピーク時には約800kW。常用発電機を稼働させるだけで、営業に最低限必要なホテル全館の電力をまかなったのである。

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(しばもと・よしこ) フリーライター。お茶の水女子大学文教育学部卒。日本経済新聞社を経て、『ひよこクラブ』『たまごクラブ』『マイ・フォーティーズ』『毎日が発見』の各編集長を歴任。東洋大学理工学部非常勤講師。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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