韓国側も、同盟国の米国より、北朝鮮との和解や融和のための行動をとろうとする姿勢が濃厚だ。そんな韓国に対して、米国の保守系安保研究機関「新米国戦略センター」の朝鮮問題専門家であるクリスティーン・リー氏は、「文大統領の陣営には、北朝鮮への認識に関してとてつもなく楽観的な要人たちが多い。北の核廃棄の実現を最重視しない点で、トランプ政権とは重大な距離がある」と論評した。

 トランプ大統領自身もかつて「文政権の対北宥和が心配だ」と述べて、韓国側から激しい反発を浴びたことがある。

 また、トランプ政権にきわめて近い国際戦略問題の権威のエドワード・ルトワック氏は筆者のインタビューに応じた際、韓国の安全保障政策における一貫性の欠如を取り上げて「無責任国家」と断じた。

 韓国が日本に対して慰安婦問題での外相合意を反故にしたり、徴用工問題で本来、政府同士で解決済みの補償要求をまた持ち出してくることを、「情緒的な未成熟民主主義」(米外交雑誌『フォーリン・ポリシー』のエリアス・グラル記者)と酷評する向きもある。

 米韓両国政府のこうした足並みの乱れは、トランプ、文両首脳の政治理念の違いを如実に反映し、米韓同盟の将来にまで暗い影を投げ始めたといえそうだ。