(英エコノミスト誌 2018年11月17日号)
北京で握手する米国のドナルド・トランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席(右、2017年11月9日撮影、資料写真)。(c)Fred DUFOUR / AFP〔AFPBB News〕
20年来の関係がきしんでいる。
米国と中国の関係を理解したいのであれば、長年そのために自身のキャリアを捧げてきた2人の有力者の足跡をたどることには価値があるだろう。
米ゴールドマン・サックスの元最高経営責任者(CEO)で、米国の財務長官としても逆境に強いところを見せつけたヘンリー・ポールソン氏と、博学な銀行家であり中国政府の官僚である王岐山国家副主席の2人だ。
ポールソン氏と王氏は1990年代以降、中国の国有企業(SOE)の改革や米中の貿易促進、2007~08年の金融危機への対処など、折に触れて一緒に活動してきた。
その2人が今、米中間の深い断絶の橋渡しを試みている。
2人は11月6日、7日にシンガポールで開催された有力財界人の会合「ニュー・エコノミー・フォーラム」に姿を現した。
貿易をめぐる緊張について意見を出し合い、ポピュリズムへの対応を模索することを狙い、マイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長が企画したイベントである。
初日には、ヘンリー・キッシンジャー氏が最前列に陣取る会場で王氏が発言し、西側における「右寄りポピュリズムの二極化」が怒りをあおり、世界の秩序を不安定にしていると警告した。