これはチャイナウォッチャーを驚かせた。なぜなら、国会議員に復帰直後の外遊に、アンワル氏は「中国」をあえて、選んだからだ。

 しかも、アンワル氏は国会議員に復帰したからといっても政権内で要職についたわけでもなく、内閣の一員でもない。

 親中政権だった前ナジブ政権の「膿」を出し切ろうと、新政府率いるマハティール氏が、一帯一路の習国家主席肝いりのプロジェクトを中止し、外国投資の中でも「中国案件」を精査しようとしている矢先に「次期首相」が最初の外遊先として訪中したのである。

 関心事は、講演の内容云々より、北京で中国政府や共産党幹部に会うのかどうかだった。

 結局、王毅国務委員兼外相および共産党幹部と会談した。アンワル氏の非公式の訪中目的は、講演ではなく中国政府との会談だったのだ。

 会談後、アンワル氏は自身のフェイスブックで、会談が有意義であったことを公表。

 中国政府は即座には発表しなかったものの、後日、両手を大きく広げ、アンワル氏を歓待し、満面の笑みを浮かべる王外相とアンワル両氏の会談写真を公表、親密ぶりを内外にアピールした。

 中国外務省の公式ホームページには、中国がアンワル氏を歓迎したことと、「中国とマレーシアは1000年以上の長い友好の歴史の礎のもと、今日の両国関係がある」と二国間関係が今後も、ゆらぎなく発展すると書かれている。

 また、アンワル氏が外遊の最初に中国を訪問したのは、馬中関係が外交関係で最も重要な証だからだ、とアンワル氏の中国訪問を大歓迎した。