ワールドカップ制覇を成し遂げたフランス代表のデータは「一般的」には凡庸なものだ(写真:ロイター/アフロ)。

「カテナッチョ」の国、イタリア。サッカー大国の変化は結果へと表れ始めている。孤軍奮闘していたユベントスだけでなく、ローマは世代交代を成功させ古豪たる強さを見せ、ナポリは新たなサッカーで一目置かれるようになり、インテルは復活の兆しを示し始めた。CLグループリーグでは全チームが2位以内に入っており、4クラブのベスト16入りもあながち夢ではない。

 何が変わったのか? サッカーの質である。守備的な「カテナッチョ」たる所以から世界の攻撃のトレンドをミックスした姿がそこにはあった(神尾光臣、サッカージャーナリスト)

サッカーのトレンドはカウンターに?

「W杯でティキ・タカは終わりを告げ、主流はカウンターに」

 2018年ロシアW杯を”傍観者の立場”で追っていたイタリアのメディアは、大会中にそんな分析をしていた。ティキ・タカとは、バルセロナやスペイン代表などが先鞭をつけた、ショートパスの交換によりボールの保持率を高めて試合の主導権を握るプレースタイルのこと。

 時計がチクタクと針を刻むように正確なパスが回る様子から名付けられたこのスタイルはポゼッション重視の流行を作り、14年W杯優勝のドイツなど追随する国も出現した。それがフランスのW杯では主流から外れ、逆に迎撃からの速攻を主体とするカウンターが流行りとなっていた、というのだ。

 中継を担当していた民放TV局メディアセットは、アルゼンチン代表を仕留めたフランス代表のロングカウンターをリプレイで細かく分析。一般紙のラ・レプッブリカは、ベルギーが日本代表相手に決めた3点目の9秒カウンターについての分析記事を掲載した。

 ドイツ代表がグループリーグで、スペイン代表が決勝トーナメント一回戦で敗退と、ポゼッションを誇るチームが破れていたことに着目し、こんなことを書いていた。

「ロシアで磁極が変化している。一時代を築いたティキ・タカは終焉を迎え、新たな時代を切り開くためのものを見つける必要にせまられている。つまり、イタリア風のカウンターは完璧だろう」

 あれから4カ月弱。10月16日に発表された国際サッカー連盟(FIFA)のテクニカルレポートでも、その辺りははっきりと明言されていた。「スペインは69%、ドイツは67%ものボールポゼションを誇りながら敗退、優勝したフランスは48%で全体の19位にしか過ぎない」とし、「2ゴールあたり1つの割合でカウンターもしくはセットプレーで得点が生まれた」と分析した。

 イタリアといえば、『カテナッチョ』と呼ばれる激しい守備からのカウンターが伝統的なスタイルとされた国だ。時代は周り、ティキ・タカの次にくるものがカウンターだというのなら、彼らにも復活の余地があるーーそう思うのも不自然な感情ではないかもしれない。

 ところが新シーズンに入り、イタリアで堅守速攻の傾向に回帰したかといえば、そうはならなかった。様相は全く反対で、代表チームも国内リーグもポゼッション志向、積極的な攻撃志向に進んでいるのだ。