反省せずに、内省するにはどうしたらいいか。実は内省にも「作法」があるのです。

 そう、PDCAの局面で用いる内省の作法が、ダウンタウンの松本人志さんがおっしゃるような振り返りの視点になるのです。内省の作法を知れば、必要以上に落ち込んだりせず、サッと5秒で問題箇所を特定し、打ち手や行動を修正できるようになるのです。

 その作法は簡単です。振り返るための「論点」を洗い出し、その論点に沿って内省すれば、共通項が見えてきます。これこそが一流のC(Check)なのです。

振り返りは論点を決めて紙に書き出す

 論点はプランに沿って洗い出すのが一番ですが、迷った時は5W1Hを参考にすればよいでしょう。コツは振り返りの論点を頭の中に描くのではなく、事前に紙に書き出しておくことです。紙に書き出すことにより、より冷静に客観視できるようになるからです。

 考えてみてください。サッカーのワールドカップの試合の時、前半終了後の15分間のインターバル中、論点もなく反省すると「なぜ、俺はキャッチせずパンチングしてしまったのだろう」など、自分やミスをした選手を責め、落ち込むだけになってしまいます。闘争心やモチベーションも下がり、チームワームもズタズタになり、戦略や戦術の修正もままなりません。

 プロスポーツの世界では、内省する時は、論点に沿って行っています。ゆえに、モチベーションをキープし、インターバルの15分の間で後半に向けて打ち手を「修正」することができるのです。

【図】振り返りは「論点」をもとに行おう
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 これはビジネスの世界も一緒です。一流の人は論点に沿って自分に問うことで、仮説の検証と打ち手の修正を行っているのです。

 紙に論点を書き出すことにはもう1つのメリットがあります。PDやD好きの上司に見せながら振り返ると、その上司もきちんと内省できるようになることです。そう、上司も内省の作法を知らないために適切な指示ができなかったということも多いのです。この方法は、お互いに、ムダな思いつきの指示に従うストレスや労力が激減できるのでおすすめです。

 注意するのは、振り返りの論点の数です。論点の数は3から5つ程度、多くても7つまでにしましょう。最初から細かく論点を書き出すと枝葉に目が行き、時間と手間もかかる上、本質が見えにくくなるからです。論点の数が多いと、それを見ただけでげんなりしてしまいます。課題の本質を深掘りしたかったら、3から5つの論点の当該箇所を深掘りすれば十分事足ります。

 論点に沿って振り返りを行えば、必ず問題の共通項が見えてきます。

 共通項が見えたら解決したも同じです。重要な問題にピンポイントで解決する打ち手は自ずと浮かびあがります。大事なことなので最後にもう一度言いますが、振り返る時は自分を責めないこと。いきない振り返らないことです。いきなり振り返ると、「あれが悪かったのでは」とネガティブになり、自分か特定の誰かを責めることになりがちです。

 責めたり、怒ったりしても事態は1mmも前に進みません。ただ時間だけが過ぎ、ストレスをただムダに溜め込むだけです。急がば回れ。振り返る時は論点を紙に書き出してみましょう。

 紙に書くことで不思議と冷静に物事を振り返ることができるようになります。

 常に解決する方向をみて、論点を書きだすことで、速くラクにPDCAの精度を上げていきましょう。