(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年11月2日付)

メルケル独首相の退任表明、EUは機能不全に? アナリスト

ドイツの首都ベルリンにあるキリスト教民主同盟(CDU)本部で記者会見するアンゲラ・メルケル首相(2018年10月29日撮影)。(c)Tobias SCHWARZ / AFP〔AFPBB News

 こんなに良い暮らしをしたことはかつてなかった――。

 ハロルド・マクミランによるこの有名な発言は大抵、誤って記憶されている。

 1950年代末期の英国が好景気に沸いていたことを、当時首相だったマクミランが自慢した言葉は実は限定されていた。

 「率直に言って、ほとんどの国民はこんなに良い暮らしをしたことがかつてなかった」。こう言った後に、忘れられていることが多いが警告をつけ加えていた。

 「中には、できすぎではないかと心配し始める人もいる。いや、たぶん、こんなに良いことは長続きしないのではないかと言うべきだろう」

 こんなに良いことは長続きしない。疑念に満ちた成功。マクミランなら、今のドイツの気分を認識してみせただろう。

 筆者は先日、ある高齢の政治家が、ドイツがこれほどまでに繁栄したことはかつてなかったと語るのを耳にした。

 それなのに、どうだろう。アンゲラ・メルケル氏の率いる連立内閣は好かれていない。国民のムードは不安定で、政界は分裂している。

 ドイツ国民は自分たちの繁栄をなかなか認識できずにいる。