果物の「食べ頃」「当たり外れ」を見極める方法

甘味と酸味のバランスが風味の決め手

2018.11.02(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

 果実の酸味は、リンゴやモモに含まれるリンゴ酸や柑橘類に含まれるクエン酸といった有機酸である。成熟している間に糖分が増加する一方で、有機酸は減少し、酸味は和らぐ。こうして甘味や酸味、香り、食感などのバランスが整い、果物は食べ頃を迎える。

 だが、果物を置いておけば、風味は落ちていく。エチレンガスは収穫後も発生しつづけ成熟を促す一方、劣化も促す。色は悪くなり、果肉もぐちゃぐちゃになる。酸味も少なすぎると、いくら甘くてもぼけた味になってしまう。

食べ頃を見極める、色で、香りで、機器で・・・

 果物は、成熟の過程や保存中にどんどん変化していくわけだ。食べ頃に食べるのが一番おいしいのだが、おいしいかどうかは食べてみるまで分からないのが難点となる。一般的に食べ頃は果物の色や香りで判断する。スイカなら叩いて、ポンポンと弾むような音ならシャキッと歯ごたえがあって食べ頃だ。バナナは黒いスポットが出てきているかを見る。このように、いろいろな見分け方がある。

 果物の品質評価には、一般的には甘味の指標として糖度が、また酸味の指標として酸度が使われる。近頃では店頭に糖度が表示されていることもあるので、この言葉を聞いたことある人も多いことだろう。

 糖度は、糖度計で測定する。水に溶けている砂糖などの固形分が多いほど、光の屈折率が高くなることを利用した機器だ。測定は簡単だが、果汁を測った場合、糖度は有機酸など糖以外の成分も含めた含量を示し、厳密には「糖の量」を示す値にはならない。また、ショ糖やブドウ糖、果糖などすべての糖を含んだ値となる。果物中の固形分のほとんどは糖分であり、甘味に関する糖の量と糖度は相関しているので、甘さの目安となるのである。

糖度計。写真のような目視式では、視線の先に見える目盛りによって糖度を測る。
この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。