「働くこと」への評価はどのようになっていくのだろうか。

「HRテック(HR Tech:Human Resource Technology)」のクラウド市場が活況だ。HRテックとは、最先端のテクノロジーを用いて、人事評価・求人・採用・タレントマネジメント・労務管理など人事関連業務を効率化するサービスを指し、「働き方」への影響も大きい。

 ミック経済研究所の調査によると、日本におけるHRテックのクラウド市場規模は2017年度で156.6億円と、前年比142.8%(16年度は109.7億円)と伸びている。また同所では、2022年度は663億円(2016年度の約6倍)にもなると予測する。

 こうした市場成長にある背景と日本人の「働き方」の未来について、人事評価の分野でHRテッククラウドサービスを提供する、HRBrain(東京都港区)の創業者であり代表の堀浩輝(ほり・ひろき)氏に聞いた。

労働人口減に直面する日本企業

――HRテック市場成長の背景をどのようにお考えですか。

HRBrain 代表 堀浩輝(ほり・ひろき)氏。サイバーエージェントを経て2016年にHRBrainを創業。2017年に同名の人事評価クラウドサービスをリリース、Forbes主催の企業家ランキング「RISING STAR AWARD 2017」にて3位に選出される。HRBrainは、総務省が支援する「第11回 ASPIC IOT・クラウドアワード2017」ASP・SaaS部門のベンチャー大賞や、経済産業省が後援する「第3回HRテクノロジー大賞」にて「注目スタートアップ賞」などの受賞歴がある。

堀浩輝氏(以下敬称略) HRテックは人事の領域における「効率化」を促します。効率化の実現にはさまざまな観点があります。たとえば、目に見えて時間がかかっている作業を圧縮とするということ、ブラックボックス化した(目に見えていない)作業を可視化するということ、適材適所の人材登用で人と人の組み合わせを最適化することなどです。

 一人ひとりの「生産性」を引き出していかなければならないという危機感から、こうした「効率化」へのニーズが高くなっています。それがHRテックの伸びにつながっていると思います。

 もちろん、以前からそうした意識があったものの、我々が取り組んできたこの2年で、危機感だけでなく実際の行動に移す企業が増えたように感じます。それは「働き方改革」の成果というだけでなく、日本が労働人口の減少に直面しているからだと思います。