「カミカゼは史上初の高精度誘導ミサイルだった」

 最後に新著に出てくる著者の対日観について触れておきたい。

 「日本は世界に先駆けて高精度誘導ミサイルを開発し、戦場でそれを武器として使った。カミカゼというミサイルだ」

 「日本人パイロットたちは、戦闘機に乗り込み、精密機械以上の高精度の命中度を自らの精神的、肉体的能力に託したのだ。これは国家に対する忠誠心を彼らに誓わせた国家神道のなせる業だった」

 「人類とは無限の創造力を持っている。常に学ぶ。(通常の軍事的常識ではもはや戦闘能力を完全に失っている中でなお戦うという)状況下でパイロットたちはその問いかけを変えることでカミカゼという手段に出たのだ」

 果たしてカミカゼ特攻隊に加わった当時の日本人若者たちがそこまで「悟り」の境地にあったのかどうか。議論はいろいろありそうだ。

 極限状態に若者たちを追い込んだ「国家」、「国家神道」をそこまで評価することに疑問を持つ日本人読者は私以外にもいるに違いない。

「日本人のアイデンティティの礎は国家神道」

 著者は、明治維新以後の日本を手放しで褒めている。

 「近代世界において伝統的な宗教が引き続きパワーと重要性を堅持しているのはおそらく日本だろう」

 「日本は1853年ペリーの黒船により無理やり開国させられたが、これに従った後は急速かつ過激に近代化の道を突っ張り成功した」

 「そして数十年の間に科学技術と資本主義体制を巧みに利用しながら強力な官僚制国家を築き上げた」