顧客の期待を超えるサービスを提供し続ける

 日本人の平均初婚年齢は、厚生労働省によると2016年に男性31.1歳、女性29.4歳となっている。それに対してノバレーゼは、20代後半~30代の中でも、経済的に比較的ゆとりのあるアッパーミドル層を顧客ターゲットに設定している。

 そのため挙式披露宴の全国平均が350万円台(2017年)であるのに対して、ノバレーゼでは400万円ほどとなっている。

 だが、その顧客ターゲット層は社会に出てからの年数が長く、一流のサービスに触れた経験もそれなりにある。料理ひとつをとっても、食材の仕入れルート、調理方法、盛り付け、供し方などについて、詳しい知識や経験を持った人もいる。新郎新婦が披露宴に呼びたいと考えている仲間や友人たちも同様である。そうした人々に驚きや感動を与えるのは決して容易ではない。

 そこで先代(創業経営者・浅田剛治氏)のときから、「自分たちが面白いと思うことや、してもらって嬉しいことをやろう! 自分が結婚する時にはぜひノバレーゼで挙式や披露宴をしたいと社員一人ひとりが思えるような披露宴を作ろう!」を合言葉に、それが実現できるよう、社内では裁量権の委譲を進め、公序良俗に反せず顧客の求めることであれば自由にやらせるという企業文化を作ってきた。

 こんなエピソードがある。あるとき、相談に来たカップルが「披露宴で花火を打ち上げたい」と言い出した。常識的には、「花火を打ち上げるには特別な資格が必要で、予算の範囲内で専門の花火師を呼ぶことは難しい」と言って断るところだ。ところが、それを聞いた男性ウエディングプランナーは「新郎新婦にとって、一世一代の晴れ舞台なのだから」と、自ら2カ月で花火師の資格を取って、新郎新婦の夢をかなえてしまった。

 そのカップルは、あくまで1つの夢としてダメ元で言ってみたのかもしれない。しかし、ノバレーゼの担当者はそれを本当にかなえ、「まさか、そこまでしてくれるとは思わなかった」という驚きと感動を与えたのである。