テスラの苦労は続くだろう

 テスラはトヨタのノウハウが入った工場を引き継いでいるし、米国はロシアよりはサプライヤーも充実しており、ロシアよりははるかに条件はましである。

 また、もちろんのことであるが、モデルSやモデルXは筆者が見たロシアの車よりははるかにまともである。比べるのが失礼なくらいである。

 しかし、程度の差はあれども、抱えている問題の本質においては同じである。

 テスラで生産数が上がらなかったのは、筆者がロシアで見たような問題が発生していると予想できる。

 つまり、品質上の問題が発生し修正が必要、サプライヤーの体制づくりができておらず品質・納期が必ずしも守れていない、作業者が習熟できていない、工程のプランニングがまずく作業者の負荷のバランスが悪いなどだ。

 解決には、関わる人間すべての仕事が正しく組み合わさる仕組みの構築が、必要である。それは日本でも何十年もかかって現在の姿になったものである。

 テスラはこの難しさを甘く見ていたのだろう。

 自動車の量産体制を短期間に立ち上げるのは難事業である。整然と量産が進むようになるにはまだまだ時間がかかるだろう。

 形を様々に変えつつ、テスラの苦労は続いていくのではないかと思われる。