中ロ、対北制裁の緩和求める 米は継続を主張 安保理

米ニューヨークの国連本部で開かれた国連安全保障理事会で話すマイク・ポンペオ米国務長官(2018年9月27日撮影)。(c)Don EMMERT / AFP〔AFPBB News

 世界の注目は米朝会談に向けられがちだが、その陰で北朝鮮は戦略的に中露を利用し、中露も北朝鮮を半島での影響力拡大と対米牽制に最大限に利用しようとしている。 

北朝鮮を密かに支援し戦略的利益を得るロシア

 ドナルド・トランプ米政権は2017年9月の北朝鮮による6回目の核実験直後から、日韓核保有容認に転換したとみられる。

 それに対抗して北朝鮮は、同年11月29日に「米本土全域を攻撃できる」とする「火星15」の発射実験に成功したとし、「国家核戦力の完成」を宣言した。

 この「火星15」は射程が1万~1万3000キロとみられる。

 「火星15」のエンジンは、2017年7月4日と同月28日に打ち上げられた「火星14」(最大射程約9000~1万キロ)のエンジンに大幅な改良が加えられたものとみられている。

 しかも突如として登場し、1回目で打ち上げに成功している。このように短期間で新しい大型ロケットエンジンの開発に、北朝鮮が自力で成功するとは考えにくい。

 北朝鮮の純国産ミサイルではなく、外国からの支援があった可能性が高い。この新型ロケットエンジンは、ロシアの支援を受けたものとみられる。

 信頼のおけるICBM(大陸間弾道ミサイル)用新型の大型ロケット・エンジンの自力開発に限界を感じた北朝鮮が、ロシアに大型ロケット・エンジンの供与を依頼し、「火星15」として何とか打ち上げを成功させたのではないだろうか。

 それほど、北朝鮮にとっては、トランプ政権による同年9月から11月にかけての、韓国に対する原潜製造許可と弾道ミサイルの制限解除が、衝撃的であったのであろう。

 北朝鮮にとり、日韓の核武装が実現すれば、日韓に対する唯一の優位性の根拠であり、米中などの大国に主動的外交を展開できる手段でもある、核武装力が相対化されることになる。