フランスのエイジング産業は「元気な高齢者」をターゲットとしている(画像はイメージ)

 進みつつある高齢化にどう対処すべきか、世界各国が頭を悩ませている。同時に各国の企業は大企業もベンチャー企業もシニアマーケットの重要性と可能性を認識し、ビジネスの開拓を試みようとしている。「エイジングビジネス2.0」とも言うべき、今後拡大するであろう新しいマーケットの可能性について、野村総合研究所のコンサルタント、木村靖夫氏と坂田彩衣氏が3回にわたって解説する。初回はフランスの取り組みを見ていく。(JBpress)

フランスの「シルバーエコノミー Expo」を歩く

 フランスでは2013年から、エイジング産業関連を対象とした展示会「シルバーエコノミー・エキスポ」(Silver Economy Expo)が晩秋のパリで開催されている。筆者らが訪問したのはほぼ1年前の2017年11月であるが、そのときも2日間にわたって会場は盛況であった。まずその様子からご紹介したい。

 展示内容としてまず気づいたことは、センシングデバイスやロボットといった最新のICT技術を積極的に取り入れた各種の機器の展示が多数を占めているという点である(図1)。さらに、それら最新の機器やデバイスを取り入れた家庭向けのサービス事業者のブースも目立つ(図2)。

図1 最新のICT技術を取り入れた機器の展示
図2 家庭向けのサービス事業者のブース

 主催者の話によると、以前は機器の展示とサービスの展示は違う会場で開催されていたらしいが、近年は合同の展示会として一体的化されたとのこと。そのほうがはるかにサービス全体をイメージしやすい。それぞれのブースはカラフルで明るい装飾が目立ち、高齢者の「活き活き」「自立を促進する」というスタンスが強調されているようだ。